シャーンディリヤ・バクティ・スートラと、アヴァドゥータ・ギーターについて

シャーンディリヤ・バクティ・スートラは、シャーンディリヤ・ヴィディヤー(シャーンディリヤの智慧)で有名な、その名はウパニシャッドに残される偉大な聖者、シャーンディリヤによって書かれたとされる、バクティについてのミーマーンサー(考究)です。全てで百の詩句からなりますが、その文面は省略と前提が多いために、ヒンドゥー教について詳しくないと理解が難しいものです。そのため、シュワフネーシュワラという註釈家の書いた文献とともに理解されることがほとんどで、それ以外には不可能だと思われます。理解するためには、バガヴァット・ギーターを手元においておく必要があります。ただしこの註釈も読み慣れるまでは、非常に難解なものでした。訳しているうちに頭が破裂しそうになりました。けれども理解してしまえば、それほど難しいことを言っているわけではありません。

アヴァドゥータ・ギーターとは、ダッタートレーヤが説いた教えであるとされています。
ギーターと呼ばれるものには、皆さんがよく知っている「バガヴァット・ギーター」がありますが、それ以外にも、「ラーマ・ギーター」、「アシュタヴァクラ・ギーター」、「イーシュワラ・ギーター」、「カピラ・ギーター(バーガヴァタ・プラーナの第三巻における、カピラと母デーヴァフーティの会話は、カピラ・ギーターと呼ばれているんですよ)」、「ウッダヴァ・ギーター」など、結構たくさんあります。
そのうち、神御自身が説かれたものと、聖者が説かれたものがあり、「アヴァドゥータ・ギーター」は後者に分類されています。
その内容は、不二一元論にそって、アートマンこそが最高であると説いていき、全てで八章、289節からなり、初めから終わりまで、美しい詩として連綿と続いていきます。教えというよりは、むしろ常に心の中で唱えて、自戒するもののように感じました。今日においても、ハリドワーラやガンガーなどの聖地で、サンニヤーシーとなった僧は、このギーターを唱えて修行しているといわれ、他の聖典は捨てても、これだけは捨てないと言われています。

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