インドの神話は、サンスクリット語で「プラーナ」と呼ばれます。
文献上、それはマハープラーナ(大プラーナ)とウパプラーナ(副プラーナ)に分けられていて、 マハーバラタなどの叙事詩(イティハーサ)と同時に語られることが多いようです。
紀元前五世紀までには、原型となるもの(プラーナ・サンヒター)が出来ていたようで、その後、紀元四世紀から11世紀にかけて、現在残っている種々のプラーナが完成していったようです。
マハープラーナの作者については、ヴェーダやマハーバーラタと同じく、聖者ヴィヤーサの著作であると見なされています。
インド神話は、他の国の神話に比べて、それは単に神々の物語であるだけでなく、多くの形而上的な主題を扱っていて、内容的には非常に高度なものといえるでしょう。
サーンキヤ哲学、ヨーガ、アートマン、ブラフマン、プルシャなど、それら現代でも論議される命題が、縦横無尽に語られています。
そしてまた、インド神話は、ヴェーダを理解し得ない一般庶民にも、それらの理解が出来るようにと著されたものであり、決して難しいものでなく、容易に読むことが出来て、また興味をひく内容になっているのです。
マハープラーナとしては、以下のように、全部で十八種類が数えられています。
@ ブラフマ・プラーナ
@ パドマ・プラーナ
B ヴィシュヌ・プラーナ
C ヴァーユ・プラーナ
D バーガヴァタ・プラーナ
E ナーラダ・プラーナ
F マールカンデーヤ・プラーナ
G アグニ・プラーナ
H バヴィシャ・プラーナ
I ブラフマヴァイヴァルタ・プラーナ
J リンガ・プラーナ(タマス)
K ヴァラーハ・プラーナ
L スカンダ・プラーナ
M ヴァーマナ・プラーナ
N クールマ・プラーナ
O マツヤ・プラーナ
P ガルダ・プラーナ
Q ブラフマーンダ・プラーナ
またマハープラーナには、以下のような10の特徴があると言われています。
@ サルガ(最初の創造)
A ヴィサルガ(第二の創造)
B スティティ(全ての生命体を支える大地)
C ポーシャナ(育成)
D ヘートゥ(目的)
E マンヴァンタラ(マヌの時代)
F ヴァムシャ(系譜)
G ヴァムシャーヌチャリタ(王家の歴史)
H サムスター(崩壊)
I アーシュラヤ(庇護所、拠り所)
これらインド神話におけるマハープラーナの中では、バーガヴァタ・プラーナが最高位だと見なされており、
歴史上、単に神話というのみばかりか、多くのヴィシュヌ派信者の聖典として扱われ、インド国民に愛されてきたばかりか、他のプラーナに先駆けていち早く西欧諸国に翻訳紹介されてきました。
また、このバーガヴァタ・プラーナは、バガヴァット・ギーターの解説書であるとも見なされているのです。
今回、インド神話の中の、バーガヴァタ・プラーナを翻訳しました。
そのうちの一部を掲載しますので、それらインド神話に関心がある方は、是非ご覧下さい。
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